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東京地方裁判所 昭和40年(むのイ)74号 判決 1965年2月11日

被疑者 山中已年男

決  定

(被疑者氏名略)

右の者から準抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

検察官は、被疑者山中已年男とその弁護人岡昌利とに対し、

昭和四〇年二月一五日午前一〇時から午後五時までの間、ひきつづき四〇分間接見させなければならない。

理由

本件準抗告の理由は、申立人提出の準抗告申立書の申立理由欄記載の通りであるから茲に之を引用する。

当裁判所は、検察官の意見を聴き、一件捜査記録を検討するに、検察官の処分は弁護人の活動を著るしく制限するものであると考えるので主文のとおり決定する。

(裁判官 佐藤千速)

別紙一

準抗告の申立

(被疑者、弁護人氏名略)

右の者、現在東京拘置所に勾留中でありますが、接見交通を制限されておりますので本日東京地検検事木村喬行に接見の日時の指定を求めましたところ、指定はしない。遠慮して貰いたいとの返答でありました。

しかし右検察官の処分は弁護人の防禦権を不当に制限するものでありますので別紙記載のとおりの日時に変更されたく申立に及ぶ次第です。

申立の理由

右被疑者は昭和四〇年一月三〇日に勾留され、二月七日、一〇日間の勾留延長をされて現在に至りますが、検察官は勾留と同時に接見交通の制限を行い、現在までに弁護人岡に対しては二月一日に十分間、同月六日に十五分間弁護人高橋に対しては同月一日と同月六日に各十五分間の接見をさせただけであります。

木村検事は弁護人の接見時間延長の要求に対し、唯捜査の都合があるからと言つてこれに応じないのであります。しかし既に逮捕後十四日となつており、本件では逮捕後殆んど連日連夜の取調べで右被疑者らに対する取調べはほぼ終りちかくなつているのにも拘らず、かように接見の指定をしないということは正に被疑者及び弁護人らの防禦権を不当に制限するものであり、検察官の右処分はただこうした意図の下になされたものであると断ぜざるを得ないのであります。

また、検察官は右被疑者に対し、本日まで延べ数十時間の取調べを行つておりますが、そうした事件につき、弁護側には、僅か延べ一時間しか与えられていないのでありまして、この点から言つても弁護人の弁護活動が不当に制限されていることは明らかです。

従いまして申立人は前記の如き検察官の日時の指定につき承服できず、右処分は刑訴法第三九条第三項但書の規定の趣旨に反するものであると思料しますので、別紙記載のとおりに接見の日時を指定されたく、検察官の処分の変更を求めるものであります。

別紙二

弁護人岡昌利に対し

昭和四〇年二月十二日午後四時より五時まで一時間

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